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vol.56 生薬について

2022年4月6日

生薬(しょうやく)とは、天然に存在する薬効のある産物を有効成分精製することなく、体質の改善を目的として用いる薬のことを言います。有効成分を多く含んだ生の薬用植物や動物、鉱物を保存できる形、使いやすいように加工したものを生薬と称します。

人が生薬を使い始めたときは、殆ど1種類(所謂単味)の生薬を用いていました。例えば、柴胡(さいこ)は熱を下げる効果ある、杏仁(あんにん)は咳を止める効果があります。しかし、漢書『芸文志』の記載により、病は季節、気候、風土、体質などの遺伝子的な要因に影響され、ほかの病と併発するなど複雑化することが多いため、2種類又は2種類以上の生薬を組み合わせて用いられるようになりました。

現在日本で常用されている生薬の種類は200種類程度とされ、その中に日本伝統の民間薬もありますが、多くは17世紀頃に中国唐の時代の古典医療である中医学と共に伝えられものになります。

生薬の『食味』
『酸味』…体を引き締め、体液や血を補う
『苦味』…余分な熱、水分を体外へ取り除く

生薬の『食性』
『温熱性』…内臓、血管の動きを活発させ、血液の流れを良くする

生薬の効果
上薬(じょうやく)又は上品(じょうほん)…命を養う、無毒で長期使用可能

生薬には色や形などの外見の特徴、味や香り、薬用部位や効能、製法や加工法、地名や古事などから名前が付けられることが多いです。同じ天然物に由来する生薬でも、薬用部位や製法が異なると全く違い名前になることもあります。例えば、生姜科生姜の根茎、製法により全く違う名前になります。外皮をとり、乾燥したものを生姜(しょうきょう)と言い、外皮をとり、蒸した後乾燥したものを乾姜(かんきょう)と呼びます。
生薬は、何千年もの長い期間に渡って人々に使い続けてきたことで、有効性と安全性を自体験として確認されています。効果が無いもの、副作用が強いものは歴史の中で淘汰されてきた為、現在も使われている生薬が確かな効き目をもっていると言えるだろう。しかし、作用のメカニズムが完全に解明されているものは極わずかなのが現状です。理由としては、生薬に含有する成分は単一ではなく複数であり、複合的な働きをする為、科学的分析が極めて難しいことになります。