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VOL301 八十八夜と新茶

2023年4月21日

 八十八夜(はちじゅうはちや)とは、雑節の一つで、立春からを起算日(第一日目)として88日目(立春の87日後の日)に当たる日のことを称します。もともと太陽暦をベースとしている日本の旧暦では暦日と季節が最高で半月のずれもあるため、太陽暦をベースとして雑節として起こり広まったものになります。ちなみに2023年の「八十八夜」は5月2日(火)になります。

 暦の上ではこの日から夏になり、農作業を始める目安になりますが、しかし、この頃はまだ昼夜の寒暖差が激しく、農産物が遅霜の被害を受けることも少なくありません。そのため、江戸時代頃から、天候への注意を促す為、暦に記されるようになりました。また、「米」という字を分けると「八十八」になることや、末広がりの八が重なることから、縁起のいい「農の吉日」とも言われています。

 「八十八夜の別れ霜」という言葉があり、この日の後は霜の心配がなくなり、農家では茶摘みや苗代づくりに精をだすとされています。また、「八十八夜」の日に摘んだお茶を一番茶とし、5月末までに新芽を摘んでいれたお茶を「新茶」と称します。さらに、「八十八夜」に摘み採れたお茶は上等なものとされ、不老長寿の縁起物として重宝され、その新茶を飲むと一年を災いなく過ごせるとも言われています。

 新茶はなぜ美味しいでしょうか?それは新茶の美味しさは養分にあり、春の訪れと共にゆっくり成長していく新芽には、冬の間に蓄えた養分がぎゅっと詰まっています。その濃縮された養分を沢山含んだ新芽はたっぷりの旨み、甘みときめ細かく柔らかい苦みが最大な特徴になり、最高の新茶を仕上げます。また、新茶と言えば香りのいいことで知られています。新茶特有の蒼く瑞々しい爽やかな香りは格別です。製茶後二ヶ月ほどしか味わえない新茶は本当に貴重な物です。